竹炭の効果を長く持たせるには、定期的なお手入れが必要です。用途にもよりますが、正しくメンテナンスすれば、消臭や殺菌力も持続するでしょう。長く放置したら使えないのか。どんなタイミングでお手入れするべきか。竹炭を効果的に使えるようなお手入れを案内し、手順を説明します。
「半永久に使える」とも言われていますが、お手入れを怠れば効果を得られません。(用途によって消耗品と捉えて下さい)お手入れしない影響や状態、保管方法や良質な竹炭の見分け方も解説しています。
目次
基本的な竹炭のお手入れ
用途によりますが、ベースのお手入れ方法をまとめています。
水で洗う
使う前に1度水洗いをして下さい。炭の粉や埃を落としましょう。流水ですすぐだけでなく、軽く手をすべらせて洗います。淵の角度が鋭利な場合は、ケガをしないよう手袋をはめましょう。素手で洗う際は炭の粉が着かないよう、先にハンドクリームを塗って下さい。油分でコーティングされ、水洗いすれば炭を簡単に落とせます。手に着いた炭の粉が落ちない。爪の隙間に粉が入ったときは、オリーブ油を塗ると炭の成分を吸着し、そのあと洗剤で洗えば落とせます。
注意事項
- 洗剤で洗わない(成分を吸着させないため)
- ブラシで強くこすりすぎない
乾燥させる
充分に水洗いしたあと、風通しの良い場所で乾燥させましょう。屋内でも構いませんが、できれば天日干しがおススメです。天日干しすれば吸着した物質が放出されるため、次に使う効果も期待できます。円柱状の竹炭は重量もあるので、洗濯や園芸用のネットに入れて物干しへ吊るして下さい。板状であれば壁に立てかけ、表と裏をひっくり返しながら乾燥させましょう。量が多ければ乾きにくいため、なるべく重ならないよう間隔を開けて下さい。天気が良ければ1日、曇りでも2~3日あれば問題ありません。乾き具合を確かめたら、用途に応じて使えます。
2~3日天日干しする手順
- 太陽が昇ってから干し、沈む前に取り込む
- 袋に密閉し、ひと晩休ませる
- 翌日、①と同じように干す
干した状態で放置すると、朝露の湿気を吸着します。天日干しの意味がなくなるので、必ず取り込んで下さい。
天日干し上級編
竹酢液をスプレーしてから天日干しして下さい。竹酢液に含まれる成分が殺菌・消毒し、竹炭を長持ちさせます。竹酢液はホームセンターや園芸用品店、通販サイトから買えます。
竹酢液スプレーの作り方
- 原液キャップ1杯を200~500mlの水で薄める
- 全体的にかき混ぜる
食用に利用した竹炭のお手入れ
炊飯に利用した竹炭は、ぬるま湯で洗いましょう。お米と一緒に炊飯器へ入れるので、炊き上がって取り出す際は気をつけて下さい。お米が炊き上がると同時に、竹炭にはご飯のデンプンが付着します。デンプンはご飯に粘りをもたらす成分で、お米の品種や水加減によっても少しずつ違います。水に溶けない性質を持ち、流水ですすいでも完全に粘りは取れません。ぬるま湯に浸すとデンプンが分解され、竹炭に付着した粘り気も簡単に取り除けます。(油がお湯に分解される場合と同じイメージ)炊飯に使う場合は、通常のお手入れに加え1週間に1回煮沸したほうが良いでしょう。
お手入れしない影響
- デンプンが固まりこびりつく
- お米がふっくらしない
- 味が変わらない
お手入れしなくても、お米は通常どおり炊けます。モチモチしたふっくらご飯を食べようと思ったら、定期的に竹炭のメンテナンスをして下さい。
お風呂に入れた竹炭のお手入れ
お風呂で使った竹炭は、1ヶ月に1回の熱処理をおススメします。食用とは違い絶対的な衛生管理は必要ありませんが、食用よりも汚れや雑菌が吸着しています。鍋で沸かしたお湯を洗面器やバケツに移し、5分くらい竹炭を浸して下さい。浮かんでくる場合は、バーベキューのトングを使いお湯に沈めましょう。通常と同じ要領でも構いませんが、お風呂用の竹炭を調理鍋で煮沸しないほうが良いです。毎回のお手入れは水洗いで構いません。水気をしっかり切って乾かしましょう。毎日湯船へ入れるなら、2週間程度で交換して下さい。竹炭に含まれるミネラルは、2週間経過すると ほとんど放出され失われます。
お手入れしない影響
- お湯の柔らかさが弱くなる
- 浴槽の汚れを抑えきれない
- カルキの臭いを消しきれない
調湿に利用する竹炭のお手入れ
調湿に利用する場合は、頻繁なお手入れ(煮沸)を必要としません。湿度が高ければ湿気を吸収し、乾燥すれば湿気を放出します。竹炭自体が調整するため、2~3ヶ月に1回の割合で天日干しすれば充分でしょう。梅雨時期は湿気をたくさん吸収するので、4~5日に1回は乾燥させて下さい。天日干しすると竹炭が活性化し、ジメジメした湿気を捕まえてくれます。冬は湿気を蓄えないので、乾燥した部屋に配置するだけで構いません。
カブトムシやクワガタの飼育ケースへ入れ、調湿と止まり木を兼ねて利用するパターンもあります。お手入れペースは同じで構いませんが、昆虫の飼育ケースでは神経質に管理しなくても問題ありません。
枕に入れて使用する竹炭のお手入れ
枕に入れた場合、3~4日に1回のペースでお手入れしたほうが良いかもしれません。眠っている間に皮脂や体臭を吸収し、他の使い方よりも早く目詰まりを起こす可能性もあります。枕カバーをしても竹炭の吸着力は強いので、布団を干すタイミングに合わせた天日干しもおススメです。
土に混ぜた竹炭のお手入れ
土壌改良や植物育成に使用した竹炭は、お手入れする必要ありません。消臭・調湿の効果低下で園芸用に転向した場合も、そのままで充分な効果を期待できます。土を掘り返さなくても、埋めっぱなしで大丈夫です。必要なくなれば取り出して処分して下さい。床下の除湿剤としても同様に使えます。細かく粉砕すれば土の中で分解されるため、混ぜて放置するだけで問題ありません。
粉砕の方法
- アスファルトやコンクリートの上に竹炭を敷き、ハンマーや金槌で叩く
- 粉砕機で砕く(ホームセンターで粉砕機を買う)
- 業者へ持ち込んで粉砕してもらう
粉末状にする
- 粉砕にしたチップをミキサーへかける
- ふるいにかける
粉末状にすれば、野菜や花の飼料としても使えます。ハンマーや金槌で叩くと欠片が飛び散るため、ビニール袋に入れたまま作業しても良いでしょう。
長く放置した竹炭のお手入れ
3~6ヶ月以上放置した竹炭は、5分くらい煮沸して下さい。菜箸で裏表をひっくり返し、全体的にお湯をくぐらせるようにしましょう。煮沸で孔(こう)に吸着した成分や物質が削がれ、ある程度の効果が戻ってきます。(孔=細かい穴)煮沸後に乾燥させて使って下さい。何度か繰り返すうちに効果を感じられなくなるため、消臭力や除湿力が低下してきたら、新しい竹炭と交換しましょう。完全に効果が失われたと感じても、インテリアや園芸用に利用できます。
煮沸の手順
- 鍋に水と竹炭を入れる
- 煮立てる
- 沸騰後は弱火で5分
- 取り出して冷ます
注意点
必ず水から入れるようにしましょう。
いきなり沸騰したお湯へ竹炭を入れると、割れる可能性があります。小さな亀裂から広がるため注意して下さい。煮沸すると、お湯に汚れが浮いてくることもあります。吸着した物質を放出するだけで、使用に問題はありません。再度汚れが付着しないよう取り出しましょう。
お手入れのタイミング
消臭用のお手入れは、2週間に1回程度が理想です。面倒でなければ、1週間に1回でも構いません。極論を言えばお手入れしなくても使えますが、効果は低下します。水洗いや天日干しは手間と時間が必要ですが、手間をかけた分の効果は発揮されるでしょう。
ペットの飼育ゲージで使用
3~4日でお手入れして下さい。ペットのトイレを片付けるタイミングでも大丈夫です。ペットの汗は皮膚表面の雑菌に分解され、臭いが強くなる傾向が見られます。排泄物の臭いや体臭を吸着するため、頻繁にお手入れしたほうが効果も期待できるでしょう。
交換の目安
まったくお手入れなし:約1年(用途によって4~5ヶ月)
水洗いや天日干し :約3年
竹酢液を加えて乾燥 :約5年
お手入れすれば長く使えるので、無理のない範囲で続けて下さい。
お手入れしない竹炭の状態
お手入れしない竹炭には、埃や雑菌などさまざまな物質が吸着しています。用途に関わらず有害物質を吸収するため、使っているうちに効果を感じられなくなるでしょう。特にお風呂に入れた場合、カルキやぬめりで目詰まりを起こす可能性があります。炊飯に使用するならお手入れは不可欠ですが、うっかり忘れても健康に影響はしません。お手入れしなくても飾って楽しめます。効果は欲しいけどお手入れが面倒なら、効果が低下したとき新しい竹炭と交換して下さい。
竹炭の保管方法
竹炭を保管する場合は、適切な方法を選びましょう。未使用の竹炭は、梱包された状態のまま保管して下さい。梱包を開けると空気中の物質を吸着するので、使ったつもりがなくても竹炭の力を借りたことになります。使う量だけ取り出し、残りは袋や箱を密閉した状態で保管しましょう。長期保管(3~6ヶ月)なら、ときどき袋の一部を開けて下さい。入れたままにしておくと、竹炭の呼吸で袋の内部に湿気がこもるかもしれません。使用済の竹炭は、乾燥材を入れて袋に密閉しましょう。
注意事項
- 直射日光を避ける
- 高温多湿を避ける(常温もしくは涼しい場所が理想)
長期保管するうちに、白いカビのようなものが付着することがあります。初めて見て驚くかもしれませんが、カビではありません。竹炭に含まれたミネラル成分が温度によって付着し、梅雨時期に浮き出る現象です。空気中に漂う埃を吸着し、埃が原因でカビの発生に繋がる可能性はあります。カビが付着した場合でも水洗いし、天日干しすれば問題ありません。食用への利用は抵抗もありますが、消臭効果を狙うなら気にしなくて大丈夫です。
竹炭の見分け方
窯や焼き方にもよりますが、高温で焼いた竹炭は品質も高いです。温度が高いほど不純物も混ざらず、硬い竹炭に仕上がります。ただ、低温で焼かれた竹炭のほうがミネラルを溶出しやすいため、土壌改良する際は軟質の竹炭が推奨されています。
品質の判断
◆音→竹炭を叩いて下さい
上質:キンキン鳴る金属音(高温で焼かれたもの)
低質:ポクポク鳴る鈍い音(低温で焼かれたもの 割れやすい)
◆見た目
上質:黒く光沢がある 光沢のない灰色
低質:少し赤みがある(未炭化)横割れ(軽く軟質)縦割れ(乾燥が少ない)
お手入れしても低質の竹炭は劣化しやすいため、購入する際に確かめて下さい。板状の場合は、「高品質の竹炭も多い」と言われています。
お手入れに関するQ&A
お手入れに関する疑問を集めました。
Q 埃は水洗いで落ちる?
A定期的に水洗いするなら、問題なく落ちます。気になる場合は、歯ブラシや筆で軽く竹炭をこすって埃を浮き上がらせ、そのあと水洗いしましょう。
Qドライアーを使って乾燥しても良い?
A竹炭は自然乾燥して下さい。ドライアーを使えば早く乾くかもしれませんが、太陽のエネルギーで吸着した物質を放出させ、紫外線での殺菌が望ましいです。
Q天日干しで音がするけど大丈夫?
A竹炭に含まれた水分が放出されると、パチパチ音が聞こえます。水分が蒸発する際、竹炭をはじき音が鳴っているだけです。割れたわけではありません。安心して下さい。水分が抜けきったら、音が消えて静かになります。
Q天日干しできないときは?
A窓を開ける。もしくは窓辺に竹炭置き、日光を当てて乾燥させましょう。外の太陽エネルギーよりは小さいため、日を改めて天日干しして下さい。外へ出せないなら乾燥させる頻度を増やし、時間を長めにすると良いです。
まとめ
竹炭のお手入れは、用途によって少しずつ違います。価格によって品質の差はありますが、高くてもお手入れしなければ効果は薄まるため、目的に応じた対応が必要です。お手入れは、絶対にやらなければならない義務ではありません。竹炭の効果を思う存分に発揮させ、気持ちよく使うために実施して下さい。消臭は嗅覚。調湿は触覚。食用なら味覚。それぞれの感覚を活用し、お手入れのタイミングを測っても良いでしょう。
- 水洗いに洗剤は厳禁
- しっかり天日干し
- 効果が低下したら、園芸やインテリアへ
- 長く放置していたら煮沸
- 密閉して保管
- 音と見た目で見分ける
竹炭は環境にも優しいので、頑張ってお手入れして効果的に使いましょう。