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竹炭の活用で森林保護へ貢献

竹炭を有効活用すれば、森林保護へ貢献できます。京都の嵯峨野を思い浮かべれば、整備された竹林の美しさをイメージできるでしょう。実際は全国で竹害(ちくがい)が発生し、隠れた社会問題となっています。竹やタケノコの生態、森林保護へつながる対策をまとめています。

一般的には七夕や流しそうめん、竹細工や笹の葉寿司に使う良い印象しかないかもしれません。一方では竹害の事実や竹林整備の課題もあります。なぜ竹炭への加工が推奨されるのか。竹林を放置することで起こる危険とは何か。竹の歴史や管理、将来的な展望もご紹介しましょう。

竹の歴史

竹は古くから建材や日用品の資材とされ、身近に存在していました。プラスチックや海外の安価な竹材が輸入されるまで、加工性の高い資材として重宝されていたようです。

竹の活用例

  • 土壁の芯 茶室の天井 垣根 門松
  • 籠 ザル 和傘 物干し竿
  • 竹刀 尺八 笛 弓矢 釣り竿

「竹取物語」に登場する竹取りの翁(おきな)は、竹を取って生計を立てていました。これは平安初期に書かれた作品で、現代風に言えば竹取りが家業です。縄文時代の遺跡からは竹を使用した製品の出土もあり、日本人と竹のつながりは太古の時代にまでさかのぼれるでしょう。一口に竹と言っても種類は多く、大小含め約600種あると言われています。種類によって用途は異なり、真竹(まだけ)孟宗竹(もうそうたけ)淡竹(はちく)が使用頻度の多い竹です。

種類用途特徴大きさ
真竹竹細工 伝統工芸先端までまっすぐ中型
孟宗竹造園 農業や漁業資材先端がうなだれる 湾曲大型
淡竹伝統工芸弓なりにたわむ小型
竹の種類(出典:日本森林技術協会)

他には釣り竿に使用する布袋竹(ほていちく)や、笛に加工する篠竹(しのちく)も分布しています。節の数や色も違いますが、すぐには見分けられません。竹炭に使われる種類は、ほとんどが中国原産の孟宗竹です。

竹とタケノコの生態

竹は多年性植物で、毎年地下茎からタケノコを生み出します。タケノコは何枚もの皮に包まれています。皮は1ヶ月で自然にはがれ成長するため、タケノコとして食べられるのは限られた期間でしょう。5年をすぎると生産力は衰えますが、それまで毎年のようにタケノコを産出します。「雨後の筍」と諺(ことわざ)であるように、タケノコは雨が降るとよく成長します。ただ、気温が低ければ発生しにくいでしょう。成長や繁殖力が高く、気づかないうちに竹林や竹藪(たけやぶ)を作ります。人が管理すれば「竹林」。管理していない自然の状態を「竹藪」と呼び、どちらも竹害を起こします。竹藪は河原や里山の麓に点在しましますが、竹林ほどは拡大しません。管理されない竹藪のほうが広がるイメージもありますが、一角に自生して留まるので被害は少ないのかもしれません。

タケノコの生産量は(出典:農林水産省「特用林産物統計調査」2016年)12383.0tの福岡が、国内の34.8%を占めています。安価で市場に並べられることから、中国から輸入された水煮も多く、国内のタケノコ生産を上回る勢いでしょう。そのため需要と供給のバランスが崩れ、タケノコとして消費される前に竹へ成長します。タケノコを生み出さなくなっても地下茎の成長は止まらず、寿命のあるうちは土の中で茎を伸ばし、隣の敷地へ侵入することもあります。

竹を放置することで起きる問題

竹の地下茎はコンクリートを突き破る力もあり、放置すれば深刻な被害をもたらします。近所に竹藪はない。竹林と距離が離れている。油断していると、放置された竹の地下茎は敷地へ侵入し、庭からタケノコが生えてくるかもしれません。放置された土地は所有者不明のケースが多く、名義人と連絡がとれない場合も多いです。他人の土地へ勝手に薬剤を撒くわけにもいかず、国や自治体所有の土地であれば陳情する必要があります。伐採しても根を取り除かなければ、いずれ成長して立派な竹となります。地権者の高齢化が進み管理できない土地も元凶でしょう。一帯に竹が生えたとしても、国や都道府県、市区町村や私有地の区分により、対応にバラつきがあるのも課題です。

所有者不明の土地が生まれる理由

  • 所有権が登記されていない(義務ではない)
  • 所有者と連絡がとれない
  • 相続人がいない
  • 相続人が名義変更していない

個人への竹害と共に問題なのが、放置された竹林の問題です。竹藪よりも範囲が広いため、竹害の被害も大きいでしょう。竹林は竹製品生産のために管理されていましたが、生活や文化の発展に伴い需要が減りました。寿命をすぎて枯れる竹もありますが、枯れたからと言って問題が解決するわけではありません。立ち枯れすると折れて倒れ込み、山道を塞ぎ周辺植物の成長を妨げます。枯れた竹を処分するとなれば、その人手も必要になります。管理や処分が難しいからと言って放置すれば、勢力を拡大してどんどん繁殖し、竹害が広がるでしょう。

竹林の役割

イメージばかり先行しますが、竹林がすべて悪いわけではありません。竹林のおかげで、災害を防ぐことができた事例もあります。

  • 山崩れや地滑り防止
  • 防風
  • 水害防備

古くから「地震がきたら竹藪へ逃げろ」と伝えられるように、地下茎の張り巡った竹藪は地盤がしっかりしています。そのため近くに避難場所が見当たらなければ、竹藪や竹林へ避難する方法も1つの選択肢でしょう。地中の浅い場所に地下茎があれば安全とは言えませんが、軟弱地盤の改良に竹材の利用も検討されたほどです。地下茎は地面の30~50cmくらいの場所で横に伸びます。大きな地震や斜面の土砂崩れは地下茎ごと倒れますが、ある程度の水準までは持ち堪えられるかもしれません。風に強いため、暴風から家を守る役目もあります。江戸時代は治水工事にも使用され、「堤防としても機能した」と言われています。身近にあったからこそ防災の役に立ち、うまく管理すれば特性を活かして有効的に活用できます。

竹の活用

里山再生や森林保護のため、竹害への対策も進んでいます。さまざまな用途に竹を活用し、厄介者扱いされる竹の利用を促進することが目的です。

竹の活用

  • 竹炭
  • 竹酢液
  • 建材や資材
  • 家畜の飼料

従来どおり建材への利用もありますが、照明を演出する材料としても活用されています。事故や災害の慰霊祭、竹灯篭(たけとうろう)のイルミネーションイベントなど、ライトアップされた温もりのある灯りは、竹で作られたからこその雰囲気を感じられるでしょう。竹灯篭作りは、地域のワークショップで開催されています。デザインに添った穴や切り込みを入れ、竹の中にLEDライトやろうろくを入れます。神社やお寺、古い町並みに映え、どこか懐かしいノスタルジックな空気も漂わせているかもしれません。家畜の飼料に使う場合は伐採した竹を細断、笹サイレージ(家畜用飼料)へ変えます。工芸品として竹細工へ加工、農業用に竹酢液を抽出して活用するところもあるでしょう。竹炭を作り、用途を広げた使い方もあります。

食用への活用事例

笹の天ぷらねまがりだけの笹 ビタミンB C Kが含まれる
カッポ酒清酒や焼酎を入れ、囲炉裏や焚き火で燗をつける 
ウランジタンザニアに伝わる竹の樹液を発酵させた酒
(出典:九州大学大学院法学研究院「竹の有効性・可能性・利用促進関わる課題」)

食用の活用例は少なく、どちらかと言えば製品への加工が目立つかもしれません。

竹炭の活用と森林保護

放置された竹の活用方法もさまざまですが、森林保護には竹炭への活用が効果的です。日本の森林保護は生態系保存や学術研究のため、国から指定された場所が決められています。全国には約40万haの国有林があり、国有林保護制度によって管理されています。(出典:日本自然保護協会)都道府県別にも保護林が存在していて、森林生態系保護地域や植物群保護林として森林保護の対象になっています。竹林が含まれるかどうかは、自治体によって違うかもしれません。保護対象区域から外れた竹林や私有地に生えた竹は、近年の放置竹林問題に影響を及ぼしている可能性は高いでしょう。

森林保護の取り組み例(出典:環境省)

  • 保護区の設置
  • 違法伐採問題への対応
  • 住民参加型森林管理
  • 環境活動を実施する企業の応援
  • 間伐材の利用
  • 樹木再生計画

竹炭は放置された竹林を管理し、森林保護の一環を担います。消臭や調湿、電磁波や雑菌の吸着に優れ、贈答のみならず日常的な浄化アイテムとしても活用されているでしょう。用途も多く使い勝手が良いため、放置された竹の行き先としては最適です。円柱状から粉末までさまざまな形で利用できます。

森林保護が必要な理由

森林は生態系を維持する要です。文明が発達していればそれで良い。都会で暮らしたい。人によって意見もありますが、森林破壊が広がれば環境に影響し、巡り巡って生活に支障をきたすようになります。

森林の役割

  • 土壌の崩壊を防ぐ
  • 空気の浄化
  • 木材としての資源
  • 気候の緩和
  • 生態系の形成

森林は空気中の水分と二酸化炭素を吸収し、光合成の過程で酸素を排出します。二酸化炭素は温室ガスと呼ばれ、地表から放射される熱を吸収します。さらに自らが吸収した熱をすべての方向へ放射し、結果的に地表の温度が上げることになります。この一連の循環から大気圏や海面の温度も上がり、やがて気候変動が起きるでしょう。海面温度の上昇で氷が溶ければ、海の水は陸地へ到達して沈む国も出てくるかもしれません。森林の樹木は根を張り、土砂崩れを防ぐ機能も果たしています。さまざまな観点から森林保護は必要とされ、世界共通の課題となっています。

2009年2011年2013年2015年2017年
9.2t10t10.3t9.5t9.30t
日本:1人当たりの二酸化炭素総排出量(出典:環境省「CO2排出量全体」一部抜粋)

日本の二酸化炭素総排出量は減少傾向にありますが、京都議定書に記した削減目標6%減は達成していません。ピーク時と比較すれば7.3%減少していますが、自動車の利用や給湯、工場の操業や廃棄物など、文化的な生活や経済を回すことで排出量が増えたかもしれません。世界で5番目に多く、最も二酸化炭素の排出が多いのは中国です。中国は世界の28.2%を占め、この国の経済活動によって「地球の環境が左右される」とも言われています。二酸化炭素の排出量を抑制することは、現状を維持しながら森林保護につながるでしょう。

ちなみに京都議定書とは、気候変動枠組条約締約国会議の事を指します。

竹炭にしたほうが森林保護となる事情

竹は成長過程で光合成を行います。植物全般に共通しますが、植物が枯れると微生物の作用で分解され土へ還ります。その際、これまで吸収していた二酸化炭素を空気中に再放出します。そのため竹林を放置して立ち枯れを起こす前に、竹炭に加工するほうが森林保護につながるでしょう。空気中にあった二酸化炭素を吸収しただけなので、再放出したからと言って二酸化炭素の量が倍増するわけではありません。竹炭を堆肥として土へ混ぜれば、二酸化炭素を封じ込めることができます。

伐採直後の重量270kg 
竹炭前の重量230kg
竹炭後の重量70kg
竹炭10kgで実験 概算(出典:土木学会発西部支部発表)

二酸化炭素の固定量は、二酸化炭素の原子量と炭の重量で推察します。竹炭に加工した場合、「200kgの二酸化炭素を固定した」と分析されました。ただ、竹炭を燃料として燃やせば、固定された分量だけ二酸化炭素が再放出されます。燃料にせず、竹炭のまま利用すれば問題ありません。空気中の成分を吸着した竹炭は、天日干しで再放出します。吸着と再放出を繰り返すだけで、環境に大きな影響は与えません。極論を言えば、天日干ししなければ二酸化炭素を吸着させたまま処分できます。二酸化炭素以外の物質も吸着しているので、処分しても大幅な削減にはつながりませんが、理論的な説明としては成り立ちます。

まとめ

竹炭を利用すれば森林保護に役立ちます。放置された竹林を減らして他の植物を守り、竹炭に加工すれば二酸化炭素も吸着できます。もちろんすべて解決するわけではありませんが、森林保護への1歩であることは間違いありません。

  • 竹林は防災の役目もある
  • 放置竹林を抑制
  • 竹炭への加工は活用例も豊富
  • 森林保護で地球環境が守られる
  • 竹炭に加工し二酸化炭素を減らす

インテリアとしても人気の竹炭は、森林保護にさらなる力を発揮するでしょう。

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