竹炭は、部屋の消臭や調湿に使われたり、インテリアやガーデニングなど幅広い用途で使われています。竹炭は作ることが難しいイメージがあるかもしれませんが、自宅でも簡単に作ることができます。
ひとことで竹炭といっても、作り方によって種類があり、その特徴や効果には違いがあります。竹炭を作ってみたけど、期待した効果がでるものではなかったと思うかもしれません。自分で作る場合はどんな竹炭を作ることができるのか、どんな方法で作ることができるかを確認してみましょう。
炭の種類やそれぞれの効果的な利用法、自宅で竹炭を作る場合の手順を紹介します。
炭の種類と効果的な利用法
炭は大きく分けると、黒炭と白炭の2種類があります。主に燃焼温度と火の消し方によって区別されています。白炭は燃焼温度が1,000℃前後になるため、高温に耐えることができる窯や空気の量を調整するための高い技術が必要です。黒炭は燃焼温度が500℃前後で、簡易的な窯でも作ることができます。
炭は使われる素材や製造方法により、炭化する難易度が大きく変わります。そのため炭によって価格に差が生まれるということになるわけですね。ですが、高価な炭が効果的で、安価な炭は効果が薄いとは限りません。炭の効果は種類によって性質が違うので、使用目的によっては、高価な炭でなくても十分な効果がある場合もあります。
黒炭と白炭の作り方の違いと、それぞれの効果的な利用法について解説します。
黒炭とは?
黒炭は、窯の燃焼温度を400~700℃で炭化させて、窯の中の空気を遮断することで火を消して作ります。専用の窯でなくても、簡易的な窯や身近にあるものを使用して作ることも可能です。
専用の窯で作られた黒炭には白炭に近い高品質なものもあり、見た目も美しいためインテリアとして使われることもあります。一方で、簡易的に作られたものは形もバラバラになり崩れやすくなるため、消臭・除湿目的で使われることが多いです。
黒炭の特徴
- 火が付きやすく、白炭に比べると燃焼時間が短い
- 多孔質なので消臭効果、通気性、通水性が高い
- アンモニアなどのアルカリ性物質を吸着しやすい
- ケイ酸を豊富に含んでいる
黒炭の効果的な利用法
黒炭は比較的に火を付けやすいので、バーベキューなどで使われることが多いです。白炭に比べると燃焼時間が短く火力が不安定で、けむりがたくさん出るという特徴もあります。
アルカリ性物質を吸着しやすい性質があるので、汗や体臭などのアンモニア臭がする場所の消臭・脱臭効果が高いです。
- 玄関周り・靴箱の中
- 車の中
- トイレ
多孔質なので通気性、通水性が高いです。湿気が多い場所では湿気を吸収し、乾燥していれば水分を放出するため、室内の温度を調整してくれる効果があります。
黒炭にはケイ酸が多く含まれているため、肥料として使用しても効果的です。ケイ酸には光合成を促進する効果があります。そのため、農地やガーデニング、花瓶や生け花などに使われています。竹には元々ケイ酸が含まれていますが、750℃以上で燃焼するとケイ酸が溶け出してしまうため、比較的低温で燃焼させる黒炭の方がケイ酸を多く含んでいます。
白炭とは?
白炭は、炭化の最終段階で炉の温度を一気に1,000℃まで上げることによって、均一に炭化することができます。消紛と言われる灰と土を混ぜたものをかぶせて消火するため、完成したものには白い灰が付いています。そのため白炭と呼ばれています。
白炭の特徴
- 均一に炭化されているため非常に硬い
- 化学物質を吸着しやすい
白炭の効果的な利用法
白炭はたたくとキンキンと金属のような音がするくらい硬いので崩れにくいです。そのため、水道水や炊飯器などの水中で使用すると効果的です。
白炭には、ホルムアルデヒドやダイオキシンといった有害な化学物質を吸着する効果があります。そのため、シックハウス症候群や化学物質過敏症に効果的と言われています。
このほかにも白炭にはマイナスイオンを出しやすいという特徴があり、化学物質から出るプラスイオンを中和することで、リラックスした気分になる効果もあります。
竹炭の作り方
竹炭は、専用窯で作るだけでなく、簡易的な窯やドラム缶、一斗缶などの身近なものを利用して作ることもできます。自宅でも簡単に竹炭を作る方法を紹介します。
竹が炭になる仕組み
竹を普通に燃やすと灰になるだけで炭にはなりません。
酸素が少ない状態で竹を加熱すると、灰にならず炭になります。これを炭化と呼びます。
竹を空気がある状態で燃やすと、竹の炭素と酸素が結合して二酸化炭素になり灰が残ります。空気がない状態で竹を燃やした場合は、炭素と酸素が結合しないので、中の水分がなくなり炭素だけが残ります。見た目は竹のままですが、実際は炭素だけの状態になっています。
白炭は高度な技術と設備が必要
白炭を作るためには、1,000℃以上に耐えることができる設備と熟練の技術が必要になります。
炭化の最終段階で、炉の温度を一気に1,000℃以上に上げることで熱がまんべんなく通り、均一に炭化された竹炭が完成するわけです。空気を送り込む量やタイミングなどの高度な技術が必要なので、簡単に作ることができません。
アルミホイルを使った竹炭の作り方
竹炭は、アルミホイルとコンロでも作ることができます。初めて竹炭を作る場合は、この方法で作ってみることをおすすめします。実際に作ってみると、竹が炭化する過程が理解できるので、大量に竹炭を作る予定でも一度は試してみると良いでしょう。
必要な材料は竹とアルミホイルだけです。ガスコンロでも、カセットコンロでも作ることができます。
アルミホイルで竹炭を作る場合の流れ
- 竹をできるだけ平らになるように切っておく
- 竹をアルミホイルで包み、片方は空気が抜けるようにして上に向ける
- アルミホイルごと竹を燃やす
- 煙が出なくなったら火を止める
- アルミホイルごと水の中に入れて冷ます
中に空気が入らないようにするために、事前に竹を平らに切っておきます。筒状のままだと中に空気が入っているため酸欠状態になるまでに時間がかかります。密閉された状態の竹を燃やしてしまうと、中の空気が膨張して破裂するので、切れ目を入れるか穴を開けておく必要があります。
アルミホイルを熱することで中の空気が抜けていき、けむりがでます。けむりが出なくなったら炭化が完了しているので、アルミホイルごと水に入れて冷やします。かなり厚くなっているので、素手で触らないように注意してください。軍手を付けて取り出すかか、トングのようなもので取り出すようにしましょう。
一度に作ることができる量は少ないですが、比較的に安全に作ることができます。
空き缶を使った竹炭の作り方
空き缶などの小ぶりな金属の容器でも簡単に作ることができます。1時間ほどで完成します。
必要なものは、竹、空き缶、アルミホイル、焼き網になります。ガスコンロでも、カセットコンロでも作ることができます。
空き缶にフタがある場合は穴を三つ開けておきます。フタがない場合は、空き缶にアルミホイルをかぶせて三つ穴を開けておきます。空き缶の周りにラベルが付いたままだと燃えてしまうので外しておく必要があります。
空き缶で竹炭を作る場合の流れ
- 空き缶の中に空気が入らないように隙間なく竹を詰める
- フタをして空き缶を焼き網に乗せ、火を付ける
- 煙が透明になったら火を止める
- 空き缶ごと水に入れる
- 中の火が消えて熱が冷めたら完成
隙間がなくなるように竹を空き缶に詰め込んでいきます。フタをしっかりして焼き網の上に空き缶をのせ、火を付けます。最初は煙が出ますが、煙がでなくなったら炭化が完了しています。
バケツなどに水をいれておき、そのなかに空き缶ごと入れて冷やします。空き缶は凄く厚くなっているので、軍手を付けて作業するようにしましょう。
ポイント
空き缶の中の空気をなくして酸欠状態にすることが重要になります。空き缶の中に隙間があると、酸欠状態になる前に竹が燃えて灰になってしまいます。火が消えてフタを開けたら灰しか残ってなかったということも。
空き缶が茶筒やコーヒーの缶のようにタテに長い場合は倒れると危険なので、目が細かい焼き網を使って倒れにくくしておきましょう。
一斗缶を使った竹炭の作り方
広い庭や空き地で作業できる場合は、一斗缶で竹炭を作ってみましょう。数時間で完成し、それなりの量の竹炭を作ることができます。基本的な流れは空き缶で作る場合と同じです。一斗缶でなくてもフタがある金属の容器ならなんでも大丈夫です。
必要なものは、竹、一斗缶、煙突用の竹、レンガ、火を付ける薪になります。一斗缶のフタには穴を開けておきます。
一斗缶で竹炭を作る場合の流れ
- レンガを三つ地面に置く
- 一斗缶の中に空気が入らないように隙間なく竹を詰める
- フタをして一斗缶をレンガの上に乗せ、火を付ける
- 1時間くらいで煙が透明になるので火を消す
- 一斗缶ごと地面に埋めて、土をかぶせて空気が入らないようにする
- 中の火が消えて熱が冷めたら完成
レンガを地面に「ハの字」になるように置きます。
一斗缶の中に隙間がなくなるように竹を詰め込みます。空き缶の場合より隙間ができやすいので、小さく切った竹をいれるなどして、隙間を出来るだけなくすようにしましょう。
レンガの上に一斗缶を置き火を付けます。フタの穴のところに煙突を付けて空気を出やすくすると、炭化が早く進みます。1時間ほどすると白いけむりが透明になり、炭化が完了します。
一斗缶を地面に埋めることで消火します。地面に大きな穴を掘り、一斗缶を入れて空気が入らないように上に土をかぶせます。火が消えて冷えたら竹炭の完成です。
ポイント
フタの穴に煙突変わりになるものを取り付けておくと空気が出やすくなります。材料となる竹を1本残しておけば煙突として利用できますね。
レンガは「ハの字」になるように置くと火の回りが良くなります。煙がかなりでるので、庭で作る場合はご近所に声をかけてから作業開始しましょう。
無煙炭化器を使用した竹炭の作り方
ここまでは、密閉した状態で竹を加熱して炭化させて作っていますが、面倒な手間をかけずに竹炭を作る方法もあります。
「無煙炭化器」というものを使って竹炭を作ります。形状としては、直径1Mくらいの底がない金属製の皿です。平らな地面に置いて、竹を並べて火を付けるだけで竹炭が完成します。
無煙炭化器のメリット
- 短時間で作れる
- 煙が出ない
- 無煙炭化器と竹のみで作ることができる
無煙炭化器のデメリット
- 枯れた竹じゃないと燃えにくい
- 盛大に炎が出る
無煙炭化器で作る場合の流れ
- 無煙炭化器を設置
- 着火剤になるものを入れて火を付ける
- 火の勢いが出てきたら竹を入れる
- 炎が出ている竹がないことを確認
- 消火して完成
周りに燃えるものがない、平らな地面に無煙炭化器を置きます。かなり炎が出るので、できるだけ広い場所を選ぶようにしましょう。下に隙間があると空気が入るので、土で隙間を埋めるか地面に押し付けて隙間をなくすようにしてください。
火の勢いを出すために、枯れ枝などの着火剤に火を付けます。最初は煙が出ますが、火の勢いが出てくると煙が出なくなります。火の勢いが強くなってきたら竹を一気に投入します。
火の勢いが強くなることで、下の方の竹が蒸し焼き状態になるので竹が炭化するようになります。容器いっぱいになったら竹の投入を止めます。
火が見えなくなるまで待機します。火が出ている竹はまだ炭化していないので、なかなか火が消えない竹は取り除きます。かき混ぜてみて火が見えなくなったら竹が炭化したということになります。
湯気が出なくなるまで水をかけて消火します。炭は火が残りやすいので、炭の温度が下がるまでしばらく放置しておきましよう。水で消火しない場合は、別の容器に入れ替えてフタをすることで酸欠させて消火できます。
竹炭を作る場合の注意点
これまで紹介してきたように、竹炭は自宅でも簡単に作ることができます。ですが、火を使う作業なので十分注意して行う必要があります。万が一火災になったときのことを考えて、入念に準備しておくようにしましょう。特に屋内で作業する場合は、けむりが大量に出るので換気を良くしておくことが重要です。
竹や一斗缶などを切ったり穴を開けたりする場合は、手を切らないように軍手を付けて作業するようにしましょう。熱いものをうっかり触ってやけどしないように注意して作業する必要があります。